幸せの数だけ咲けよブバルデイア ブーケはいつも翼の形
待つという時は藍色6月の 雨アジサイの花と私と
少女時代の古き絵日記その中に 咲き続けている朝顔一つ
口づけを知らぬくちびる一人遊びの 少女がチュっとサルビアを吸う
ラベンダーの湯に一日を流す夜は うすむらさきの夢に抱かれる
母の日はまるごと娘になりたくて スパティフィラムの鉢を選べり
やわらかな光を両手で受け止めて 空に返事をするハナミズキ
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岡山市が生んだ俳人住宅さん(自由律俳句)をご存知ですか?1961年生まれ、私と同世代です。しかし23歳のとき、白血病におかされその頃から句作を始めて、25歳で亡くなってしまった方です。死に直面した自分としっかり向き合うことで詠んだうたは私の心にストレートに響き大好きになりました。すきなうたを何点かご紹介します
大漁
朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽鰮の大漁だ。
浜は祭りのようだけど 海のなかでは何万の 鰮のとむらいするだろう
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私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥はわたしのように、地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど
あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。
鈴と小鳥と、それから私、
みんなちがってみんないい。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〜 歌集「サラダ記念日」より〜
「もし」という言葉のうつろ人生はあなたに一度わたしに一度 〜 歌集「かぜの手のひらK」より〜
家族にはアルバムがあるということのだからなんなのと言えない重み〜歌集「チョコレート革命」より
白菜とキャベツと水菜ころがりて水の化身なり冬の惑星
もう歩めぬといふ母は歩まずともよし
楠の木の思慕濃ゆく生きし百年の樹下
少女からの電話息子に繋ぎたりそののちすこし音かはる雨