以下は県医師会発行のチラシ(左)の裏面です。
I.「混合診療」の何が問題なのでしょうか?自分でお金を払って、医療保験以外の医療を受けられるようにすることなのですが、その「混合診療」を導入すると、いろいろな問題が出てきます。
(1)今まで通りの保険医療が受けられた上での「混合診療」ならよいのですが、財務省は国家が負担している医療費を減らしたいと考えていますし、企業は混合診療を利用して儲けようと考えています。企業や、その御用経済学者の考えていることは、皆さんの健康や、国民の福祉ではなくて、頭の中を占めているのは唯一つ、自分達の利益・儲けだけなのです。
(2)「混合診療導入」を主張する人達・企業は、将来は風邪薬やシップ薬等は出せないような医療保険にすることを考えています。そうなると、これまでの様な受診しやすい保険医療制度でなくなります。
(3)先進的な高度医療も保険で受けられなくなり、混合診療で扱うことになる心配があります。現在の医療保険では、癌の手術でも保険で受けられ、高額医療制度などがあり自己負担が少なくて済んでいますが、「混合診療」が進んで行くと、やがて癌とか、胃の手術とか、心筋梗塞とかの治療を受けるときに多額のお金が必要となり、お金がない人達は必要な手術も治療も受けられなくなる恐れがあります。
(4)「混合診療」により、優れた日本の医療制度が英国、米国の医療制度のように駄目になる恐れがあります。イギリスでは、癌と診断されても入院までに6ヶ月も待たされる様な有様です。米国では、民間医療保険なので治療内容が制限され、充分な治療が受けられません。その上、保険にも入れない人達が5,000万人もいるような状態です。その様な事実を理解して、「医療は混合診療でよくなる」という言葉に、簡単に騙されないようにして下さい。
K.現在の日本の医療制度は世界で最も優れたものです!!日本の医療制度には3つの優れた点があります。
(1)フリーアクセス:「何時でも、誰でも、何処でも」医療が受けられます。日本全国のすべての医療機関を自由に受診出来ます。それを「フリーアクセス」と言います。アメリカの医療保険は民間の保険会社が経営する医療保険なので、保険会社が指定する医療機関しか受診できませんし、治療内容も保険会社により制限されています。保険会社が利益を追求する余り、医療内容にまで口を出し、大きな社会問題となっていることを知ってますか??
(2)国民皆保険制度:全ての日本国民は医療保険に加入していて、皆が平等に医療を受けられます。ですから、アメリカのように保険に加入していない人がいるようなことにはなっていません。
(3)現物給付:現物給付というのは、保険料を払っていれば、病気になった時、保険者から「治療」という形の保険給付があります。これを現物給付といいます。医療機関はその費用つまり医療費を、保険者から診療報酬という形で払ってもらいます。患者さんとの間でのお金のやり取りは無いのが原則ですが、現在は窓口で一部負担(1〜3割)というのがあるのはご存知の通りです。保険者は残りの治療費の7〜9割を医療機関に支払います。患者さんの負担金が増えたとしても、医療機関に入る医療費は決まっていて、保険者の負担額が減って保険者が楽になるだけです。
L.日本の優れた医療による素晴らしい成果を知っていますか?
(1)平均寿命は世界で1位です。
(2)健康寿命も世界で1位です。健康達成度の総合評価についても、世界で1位です。
(3)乳幼児死亡率が低いのも、世界で1位となっています。
M.皆さんに知って置いて頂きたい事について!
(1)日本の医療費は世界で18番目に低いことを知っていますか。米国の医療費の約半分ですが、日本の医療の評価は世界一です。米国の医療の世界的な評価は、日本のそれに全く及びません。
(2)医療従事者の過重労働で日本の医療が支えられていることをご存知ですか。医療従事者は、労働基準法で守られていますが、勤務している医師の一部は別として、その他の医師には労働基準法は適用されていません。医師は患者さんのために、一所懸命働いて日本の医療を守っています。
(3)マスコミ等はこの様な事実を無視して、実際は安い日本の医療費を高いと言い続けています。皆さん方に、この様な事実が伝わらないことが残念です。その実情を理解して頂きたいと思います。医師会は国民のための医療に努力していることをご理解下さい。
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